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2024.07.17奈良市周辺の土木遺産調査開催報告
2023年度土木遺産調査(奈良市周辺)報告
2023年度の土木遺産の調査は、奈良市周辺の選奨土木遺産を中心に調査しました。
特に今年度は、過去あまり対象となっていなかった、鉄道遺産と水道遺産にスポットを当て、午前中は、旧大仏鉄道廃線跡を辿り、美しい里山や竹林を散策する約5kmのハイキングコースを歩き、午後はマイクロバスを利用して、奈良市水道関連施設群と旧奈良駅舎を見学しました。
旧大仏鉄道廃線跡は、大仏鉄道研究会の方々の案内で、約5kmのコースを説明を聞きながらのウォーキングとなりました。また午後の奈良市水道関連施設については、奈良市企業局にお願いして、資料の準備や現場の案内など全面的なサポートを頂きました。終了後は、近鉄奈良駅近くの居酒屋で、恒例の反省会もできました。(文責:今岡亮司、栗田秀明、清水文夫、武内隆文、南荘 淳)
① 開催日時:2023年11月14日(火)10:10~17:00
② 参加者:
石原靖弘、今岡亮司*、祝 賢治、宇野宏司、栗田秀明*、小森千賀子(琵琶湖疏水アカデミー)、齋木亮一、清水文夫*、高田嘉秀、武内隆文*、田中 洋、南荘 淳*、坂東真一、古川博一 14名 * 担当幹事
③ 調査対象施設(施設名をクリックすると、それぞれの詳細報告を見ることができます)
- 旧大仏鉄道廃線跡と関連する土木遺産
- (選奨土木遺産)奈良市水道関連施設群・・・木津浄水場、奈良阪水道計量器室、高地区配水池は調査したが、低地区配水池、市坂ポンプ所は今回訪問できず
- (選奨土木遺産)旧国鉄奈良駅
④ 説明者
旧大仏鉄道廃線跡・・・大仏鉄道研究会 三宅様他1名
奈良市水道関連施設群・・・奈良市企業局事業部 岡本所長補佐他1名
⑤ 調査コース 当日の写真はこちらから ⇒ 調査状況
(午前)大仏鉄道廃線跡散策 約5.0km
JR 加茂駅 → 旧加茂駅駅舎 → ランプ小屋 → 旧加茂駅跨線橋支柱 → 観音寺橋台 → 観音寺小橋台 → 鹿背山橋台 → 梶ケ谷隧道 → 赤橋 → 城山台公園(大仏鉄道公園)
(午後)マイクロバス利用
城山台公園 → 木津浄水場 → 奈良阪水道計量器室 → 黒髪山トンネル跡 → 旧奈良駅舎 → 高地区配水池→ 近鉄奈良駅(太字は選奨土木遺産)
⑥ 参加者への配布資料
⑦ 感想
- 今回は、鉄道遺産と水道遺産という事で、新たな対象施設だったので、参加者にとっても興味深い内容となりました。
- 開催時期は晩秋で日の入りも早くなってきましたが、幸い天気に恵まれ、徒歩を含む今回のコースでは丁度良い時期となりました。
- 今回もマイクロバスを用意しましたが、現地の移動には必要でした。人数にも寄りますが、今後も公共交通機関の不便な地域では検討が必要かもしれません。
- 大仏鉄道研究会と奈良市企業局の職員の皆さんには、わかりやすい現地説明をしていただき、参加者の評判も高いものがありましたが、資料の準備など大変お世話になりました。
- 今回も当日配布資料として、事前に幹事団で作成しましたが、CVVとしての事前調査により理解が深まるので、今後も必要だと感じました。またスマホで見ることを前提にした資料作り等、新たな方法についても考えたいと思います。
- 大仏鉄道廃線跡は、土木遺産というよりも、その遺構を巡りながら自然を満喫する事の出来る、格好のハイキングコースとして整備され、既に多くの人たちが楽しんでいることを実感できました。
- 大仏鉄道は、黒髪山付近の縦断勾配が急だったため、わずか9年間しか利用されませんでしたが、煉瓦積みの隧道や橋台などの構造物は、並行するJR関西線と変わらないほど健全な姿で、明治後期の鉄道技術に感心しました。
- 奈良市水道の水源確保や高台への配水計画など苦難の歴史を知るとともに、明治の当時において、これだけの高低差に対応する計画やポンプの存在に驚きました。
- 旧奈良駅舎は駅舎としての使命は終わりましたが、歴史的建造物を観光案内所として保存活用し、観光都市としての賑わいに今なお寄与している事を知りました。
- これまで4年間にかけて京阪神の選奨土木遺産について自主調査を行ってきましたが、これまで行ってきた自主調査の成果の活かし方や、今後の調査対象施設の選定について、CVVの中で引き続き議論していきたいと思います。