藤澤様の思い出
妹尾嘉之
(八千代エンジニアリング)
CVVの発足準備で初めてお会いしてから、決して長い期間のお付合いとはならなかったのですが、藤澤様には本当にお世話になりました。心よりご冥福をお祈りいたします。藤澤様の人間的なすばらしさや業績については、私の到底書き及ぶところではありません。ここでは、個人的にとてもうれしかったことを少し書かせていただきます。
確かCVV総会の準備で事前の打合せを行う必要があり、夜の7時頃でしたか藤澤様の職場を訪れた際のことでした。
本題が終わって雑談している折に、コンサルタント社員として悩んでいることを、思わず愚痴ってしまいました。そんな愚痴に対して、藤澤様は穏やかな表情で、かついつもの明確な口調で「妹尾君、技術者は立場はどうであれ信念と自信を持ってやらんとあきませんな。お互いに技術をぶつけ合うことをしなければ、いいもんはできません」と答えてくださいました。この時、自分自身が会社員ではなく、まず一人の技術者であるべきだという、基本的でかつ最も大切なことを、改めて確認させて頂きました。それからは、ふと悩みそうになったときには、この言葉を思い出しつつ支えにしております。
そして何よりも、CVVの会合など普段では私のような若輩者に対しても「さん」付けで呼んで頂いていたのですが、その時に初めて「君」付けで呼んで頂いたことがとても嬉しかったのです。技術者として人間として尊敬する大先輩から、弟子の仲間入りを許されたような気がしたからです。