藤澤政夫さんを悼む
北村正夫(元大阪市)
平成11年1月にCVV発足の会がもたれた。私はこれに参加し、初会合で久しぶりに藤澤さんにお会いして旧交をあたためた。
初会合では、都市づくりと土木技術伝承の2グループに分かれ、私は藤澤さんその他の方々と土木技術伝承のグループに参加することにした。当初は20名位のメンバーで、何をやるべきかを相談することから話し合いが進められ「トラブル解決へのアドバイス」「土木技術の何でも相談」「技術の伝承と人材の育成」などの目標を決め、アドバイスグループと名づけて活動を始めることになった。
活動を始めて間もなく、会員間の連絡をどうするかについて、藤澤さんからメールを利用すればよいとの提案があり、早速メーリングリストを立ち上げてくださった。最初はPCアレルギーもあって取っ付き難い方もあったが、藤澤さんが何回か講習会をするうちに、殆どの方が会社なり自宅にPCを揃えて、メールアドレスを持つようになった。
メールがなければCVVの動静や連絡がわからないという状況になるのに、さほど時間はかからなかった。
私をはじめ多くの方が藤澤さんのご指導によってメールに親しむようになり、携帯電話でもメールをやり取りする今の世の中に遅れずについていけるのも藤澤さんのおかげだ、と感謝している。
まもなく、見学会その他の行事を始めるようになり、行事予告や報告を一般の市民及び会員に広報する必要に迫られ、ホームページを立ち上げてくださったのも藤澤さんだった。
メーリングリストとホームページが無かったら、CVVのこれほど速い発展はなかったと思う。
「好きこそものの上手なれ」とはいうものの、彼のPCの操作技術は抜群で、私のような年代の者にとっては足元にも及ばない高度なものであった。会員間のメール交換が頻繁になるにつれ、ウイルスの侵入防止策のアドバイスやソフトの海賊版への戒めなど、時機を得たものが多かった。また長文や写真をメールに書き込むと多くの方が迷惑を被るので、添付へ切り替えることなど、常識的なことを適切にアドバイスされていた。
かくして会員相互の連絡や行事の広報が大変円滑に行われているのは、藤澤さんの功績によるところが大きく、彼亡きあと、ホームページはなかなか以前のようには上手く運用されていない。
平成14年夏ごろ、私はそれまでは会社のPCを使っていたのが、自宅でPCを持たざるを得なくなった。藤澤さんに相談したところ、年末迄待てばXPという性能の良いマシンが出るから、とアドバイスしてくれた。12月にNECのXPを購入して、現在重宝して使っている。その際、妻と共用にするつもりだと言ったところ、それはやめたほうがよい。我が家ではイサカイのもとになっているから2台買ったほうがよい、と言ってくれた。 が、この件に関しては、いまだに個人情報を尊重しながら仲良く1台で用を達している。しかし、パソコン操作のトラブルに関しては、いろいろと気楽に相談に載っていただき感謝している。
もう一つ、彼の偉かったこと。昨年2月頃のメールで「私は、すい臓がんが発見され、闘病生活に入ります」と宣言されました。これは普通の人では真似の出来ないことです。強い精神力と覚悟が無いと出来ないことです。そして、信州のホスピスの病床で、ご長男の結婚式に立ち会われた、とあとから聞きましたが、其の頃私は、佐久周辺を歩いていたので、知っていたらお見舞ができたのにと残念です。
最後は家族の方々に看取られて、穏やかに黄泉の国に旅立たれたと聞きましたが、かの地で、微笑みながらキーボードを叩いておられるのではないかと想像しています。 合掌。