13 昭和山(しょうわざん)

  千島公園内に、地下鉄工事のとき出てきた残土等約170万立方メートル(ダンプカー
 57万台)の残土を使って造られた人工の山が、「昭和山」です。「 昭和山」と命名された
 のは、お隣の港区にある「天保山」(天保2年(1831)標高4.53m)が、天保時代に造られ
 たここに因んで名づけられた故事によるものと考えられます。標高は、造られた当時は35m
 でしたが、現在国土地理院の地図(巻頭地図参照)には、33mと記載され、頂上に、そ
 の標柱が建てられています。

  頂上からは、六甲や二上、葛城、金剛、和泉の山並みとともに、港大橋、なみはや
 大橋、千歳橋、新木津川大橋、千本松大橋などが見渡せ、さながら、大阪港付近に
 架かる近代橋の展覧会場にいるような感じがします。

        
                     昭和山入口の碑

        
                      昭和山の由来

   
                      昭和山山頂

        
○ 港大橋(みなとおおはし)

  朱塗りで、二階建てになっている橋が、港大橋で、阪神高速道路湾岸線の一部として、
 海を越えて、南港と築港地区を結んでいます。桁下は、51mが確保されていますので、5
 〜6万トン級のコンテナ船も橋下を通過することができます。
  昭和49年9月に完成したこの橋は、中央支間長510 m、橋長980mのゲルバー式トラス
 橋で、この形式の橋としては、世界第三位の規模を誇っています。
  使用された鋼材は、約35,000t, 強度と溶接性を兼ね備えた鋼材の開発と、制作に様々
 な検討が行われ、最新の技術が駆使されています。また、耐風設計、耐震設計に関しては、
 精密な実験、解析が行われました。


○ 千歳橋(ちとせばし)

  昭和山から見ると一番手前に見え、 主橋脚部が、恐竜のような形に見える橋です。
  平成15年(2003年)4月に、大正内港(鶴町〜北恩加島)に架けられた橋で、この橋により、
 大正区内の環状道路を形成して、地域交通の円滑化を図ると共に、大正通りの混雑を緩
 和しています。
  橋長365m, 車道幅員7.0〜8.810m、歩道幅員3.0mで、緊急時には、広域避難場所(千
 島公園)への避難路としての役割をもっています。
 主橋脚部が恐竜のような形に見えるのは、アーチ橋とトラス橋を融合させた、2径間連続ブレ
 ースドリブアーチ橋だからです。ブレースドリブアーチとは、棒部材を組み合わせて構成した骨組
 み構造をトラスと言い、アーチ部をトラス構造とした形式です。
  過日、東北地方を旅行したとき、北上川に架かる「北上川大橋」が、同じような形と色であ
 ったのにはびっくりしました。
  鮮やかなブルーを基調とした千歳橋は、ライトブルーのなみはや大橋、赤の港大橋と並んで
 景観にも配慮されており、大正区の新しいランドマークになることでしょう。

        
                        「千歳橋」     (昭和山山頂より)

○ なみはや大橋(なみはやおおはし)

  港大橋の手前に、柔らかくS字を描いたような橋が、なみはや大橋です。
  この橋は、尻無川に架かり、大正区の鶴浜地区と港区の海岸通地区を結ぶ橋で、中心部
 の橋長は580m、幅員11m、平成7年(1995年)に架けられました。
  高い上に、桁橋では日本最長の橋ですが、その理由は、この辺りには古くからの港湾施設が
 立地していて、船の往来が激しいためです。また、S字になっているのは、両側の道路の方向が
 食い違っているためです。
  桁形式の橋は、風によって有害な振動を受けやすいため、設計に当たっては、綿密な計算が
 行われました。
  渡るのには、通行料100円がかかります。


○ 千本松大橋(せんぼんまつおおはし)(別名「めがね橋」)   

  木津川の下流部にあり、1日8000人近くもの利用があった千本松渡し(十番の渡し・・十番目の
 「みおつくし」が立っていた渡し)の位置に架橋されている橋です。
  この橋は、大正区南恩加島と西成区南津守を結ぶ長さ323.5m、有効幅員9.75m(歩道幅員
 2.25m)の、大阪では初の「らせん橋」で、昭和48年(1973年)に完成しました。
  橋の中央部の高さは36mで、水面からマストまでの高さが34mの船ならば楽に通れます。
  これだけの高さの橋を架けるためには、取り付け道路の長さも必然的に長くしなければならないの
 ですが、周辺民家のことを考えると、短い坂道にする必要があり、そのため、両岸とも高架坂路構
 造で二段式のらせん状になりました。
  「めがね橋」というと、長崎にある「めがね橋」を思い浮かべますが、この橋は、上空から見た橋全体
 の幾何学模様から「めがね橋」という愛称がつけられています。


○ 新木津川大橋(しんきづがわおおはし)

  千本松大橋より下流部の木津川に架かる橋で、平成6年(1994年)に架けられた、住之江区
 柴谷と大正区船町を結ぶ総延長2.4kmにもなる長大橋です。
  臨港地区では、自動車交通の需要は高いのですが、木津川を大きな船が通るため、高さ46m
 幅150mの航路を確保しなければなりませんでした。そのため川を一跨ぎするアーチ橋を架けました。
 また、水面上が50mにもなるため、取り付け道路も長くなりましたが、北側の取り付け道路は、用
 地が制約されていたため、3重のループ構造になっています。そして、橋脚に水平力が極力発生し
 ないようにするため、バランスドアーチが採用され、中央の橋脚と橋脚の間の長さが、日本一長い
 305mになっています。

        
                      「新木津川大橋」    (昭和山山頂より)