[ 猪飼野新橋 ]
( いかいのしんばし )
[ IKAINO_SHIN BRIDGE ]
平野川に架かる橋である。
「猪甘津に橋為す。即ち其の處 を號けて小橋と曰う。」 これは、書物に登場する最古の橋の記述といわれ、
「日本書紀」仁徳十四年(326)の条の一節である。猪甘津は、現在の大阪市生野区付近と想定され、周辺には
猪飼野や小橋(おばせ)という地名が残っており、このあたりの土地は古くから開けていたようである。なお猪
甘津の橋跡とも伝えられる 「つるのはし跡」 の石碑が地元の人々によって生野区桃谷3丁目に建てられており、
平成9年(1997)には小公園として整備された。
現在の猪飼野新橋は昭和62年(1987)完成で、平野川の改修工事に併せて「歴史の橋」として整備したもの
である。橋長18.5m、7.5mの車道の両側には約2mの歩道が設けられており、橋面には、いにしえをしのぶ工
夫がなされている。
親柱は、古代の墳墓の代表的形式である前方後円墳の形状をした黒御影石造りとし、高欄の支柱を勾玉
の形としている。また、高欄には、日本書紀に記された「為橋於猪甘津即号其処曰小橋也」の14文字の銘板を
配するなど、さまざまな趣向が凝らされ、古代から開けたこの地を顕彰している。

全景
親柱の橋名(漢字)と高欄の勾玉
親柱の橋名(ひらかな)と高欄の勾玉
昭和62年3月完成
石畳風敷石の歩道
[ 高欄に取り付けられた「日本書紀の一節」 ]
「爲橋於猪甘津即號其處曰小橋也」
( 猪甘津に橋爲す。即ち其の處を號けて小橋と曰う。 )

頭書の説明に記されている「つるのはし跡」碑が、大阪市生野区の「つるのはし跡公園」に保存されています。