序

 
藤澤さん、あなたはCVVの立ち上げ当初から、最も意欲的なメンバーの一人でした。
特にアドバイスグループの中心人物となってからの活躍はめざましく、見学やアドバイス、
どんな局面でもこなせる器用さや、行動力がありました。
現役時代に仕事でやり残したようなことがきっと多かったに違いない、
そんな旺盛な使命感を感じました。
あなたは日頃のエネルギーの大半をこのCVV活動に投入していたのではないかとさえ思われます。
 町のお医者さん、というキャッチフレーズはあなたのアイデアでしたね。
アドバイスグループに特に関心が高かったのはやはり、昔の仕事と関係があるのでしょうか。
あなたの決断の早さ、行動の広さ、独特の判断のスタンスなどあなたのユニークさは誰もが認めるところです。
 公務員としては先進的すぎたのかもしれません。だからこそこれからが活躍の場であったのです。

 忘れられないのは、高齢者には希なIT能力の高さです。
そのうえ自分の病状を隠そうとはせず逆告知をする心の強さ、
それは苦悶の表情を他人には見せないやさしさにつながったのでしょうね。
私はあなたとCVVをやっている間に次第に「あるイメージ」が浮かんできました。
それはあなたが、大阪を語るとき、橋を語るときのあのいきいきした「語り部」としてのあなたです。
あなたは仕事柄から知っていた諸々の情報を沢山持っていました。
もしあのまま長生きしていたら、それらをうまく後世に伝えることの出来るまたとない語り部になったでしょう。
回りにくい舌を巧妙に使い、しかし訥々と優しい語り口で、こどもや、学生や市民に語り聞かせる、
そんなあなたの背中が浮かびます。
いやもし、語るべき声が出なくなったとしても、あのIT力でホームページやメールを使って、
誰とでも語り合うことが出来ました。
大阪は10年ほど先に出るはずの一人の名物爺さんを失ってしまった。
 あなたが目指したCVV像に一歩一歩近づいて行く途中で、早々と先に逝ってしまった。
少し、少し早かった。早すぎる分、あなたの思いがそこここで我々に伝わってきます。
何かにつけて、あなたならどうしただろうという場面がある度に、我々の心に降りてくるに違いありません。
 さようならとはいわない。いつでも好きなときに語りかけてほしい。
CVVはあなたの活躍を期待しています。

                                平成16年夏
                                編集代表者 谷平 勉

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